建築事例

世代を超えて紡ぐ京町家リノベーション

  • 木造
  • 2階建

京都市下京区にある築80年超の京町家をリノベーションしました。かつてはお施主様のご祖父母がお住まいだったもので、長らく誰も住むことがなく時折親族で集まる場として使われていたそうです。
お母様やご祖父母の大切な思い出が詰まったこの家に再び活気が戻るようにと、お施主様は建物をリノベーションし移り住むことを決断されました。
リノベーションをするにあたってのご要望は外観は京町家の風情を残して欲しいということ。建物内はモダンに作り変えるという選択肢もありましたが、茶室や玄関、階段などいいものは可能な限り元の状態で残した上で、快適に過ごせる環境作りを目指しました。
束石立てだった基礎はベタ基礎にし基礎断熱を施し、壁と屋根には吹付けウレタンによる断熱施工を行うことで、真冬でも新築レベルの温かさを保てています。

元は2軒並んだ町家を減築し、駐車場スペースを確保しました。また、家族の記憶や思いの詰まった母屋の外観は、塗装替えしただけでほとんど手を加えていません。

元々の天井高は身長の高いお施主様にはかなり圧迫感のあるものでした。リビングの天井を取り払い吹き抜けにし、大きく間取りを変更して開放感のあるリビングにしました。

LDKは藁すさを入れた左官壁で仕上げています。表面の凹凸が、外からの日差しを柔らかく反射してくれます。

奥様の要望を詰め込んだキッチンは、友人や家族が集まる際に使い勝手が良く広いリビングを見渡せるペニンシュラキッチンにしました。カウンター付きなので出来上がった料理を並べたりここで食事をしたりフレキシブルな使い方が可能です。

玄関から茶室、リビングとそれぞれの空間が違和感なく繋がるように、新設部分の柱は古色を使うなど古いものと新しいものが調和する意匠を心掛けました。

中藏リノベーション事例「下京区・O様邸」

ご祖母の代からお稽古に使われていたという茶室はそのままの姿で残しています。お正月に親族が集まった際にはここでお茶会を開かれるそうです。幼いお子さまも茶道に興味津々で、これから一緒にお稽古をできればと話されていました。

中藏リノベーション事例「下京区・O様邸」

元々あった植木を、手入れのしやすいサイズに整えて四季の移ろいを感じられるお庭に仕上げました。
中央の蹲(つくばい)は、お子さまの水遊びにも活躍しているそうです。

2階廊下は解放感を最大限に生かすため、黒のアイアン手すりと透明パネルで仕上げました。梁や天井の古色との相性も良く、スポットで照らした壁の陰影を眺めながらリラックスした時間を過ごせそうです。

中藏リノベーション事例「下京区・O様邸」

リモート勤務がメインのお施主様の書斎は、長時間過ごしても苦にならないように、使い勝手の良いゆとりある空間を心掛けました。大きなFIX窓からリビングにいるご家族の様子も伺えます。

このリノベーションに込めた想いや、工事を終えてのご感想などお施主様に取材させていただいた内容を、コラム「OBさまの声」で紹介しております。東京から京都へ住まいを移されたお施主様のお話は、移住をご検討中の方にも参考になることと思います。こちらも是非併せてご覧ください。