建築事例
蔵や 大宮島原
お施主様は1650年(慶安3年)より本願寺の境内地において「音羽屋」として京菓子の製造・販売を360年にわたり営まれていました。この町家は明治45年に建てられ、2012年まで、現在の一階の土間部分、中の間は店舗として、一階の座敷で家族4人が寝食をし、二階座敷以外は従業員の寝起き部屋などとして使われてきました。現オーナーが子供の頃、二階の座敷は客間としてしつらえてあり、子供は入らせてもらえなかったそうです。2012年の音羽屋閉店の後、大規模改修により生まれ変わりました。
建物正面、エアコンの室外機を隠すためエントランス横には竹を植えました。
玄関扉を開けると、もう一つ玄関扉があります。この空間は室温をコントロールする風除室の役割を持っています。
引戸を開けると、土間空間が続いています。この部屋で昔はお菓子を販売されていました。古い家具はその当時、お菓子を陳列していたそうで、そのままディスプレイ家具として使用しています。
風格漂う昔の看板です。
土間から中庭側を見返すとこの建物全体を見渡せます。左手は土間空間が続き、この土間全体に温水床暖房が入っており、土間に蓄熱された熱で建物全体を温めます。
土間空間と連続して、和室があります。この和室は改修する前とほぼ変わっておりません。古さと新しさの中に、以前からあった落ち着いた空間と新たな広がりを感じさせる和室となっています。
昔の火袋部分にはキッチンと洗面化粧台。どちらも土間空間に合うようにオリジナルでデザインしました。
上部を見上げれば迫力ある吹き抜けとなってます。
浴室の壁はヒノキ、お手入れをすればカビの心配もありません。
中庭に置かれている瓦は西本願寺のもので、西本願寺改修時にいただいたそうです。
中庭のもみじ
2階中廊下、壁は左官仕上げ。
天井は撤去し、構造をあらわしにしてあります。
お菓子を販売されている部屋にあった建具はトイレの壁になりました。
和室の欄間には竹のデザインがされており、職人さんの繊細な技が見られます。
この和室も改修する前とほぼ変わってなく、昔の良い仕事が感じられる和室となっております。
左官壁、すさを多めに入れて質感を出しています。
ベッドサイドの間接照明は壁を柔らかく照らし、眠りを誘います。
窓からは西本願寺の塀が見えます。
2階から中庭を見る
夜の外観