建築事例

快適性を高めた町家リフォーム

  • 木造
  • 2階建

京都市中心部に位置する築約100年の町家のリフォーム事例です。当初は水まわりの一新と住宅の一部にガレージを設けるというご依頼だったのですが、ヒアリングを重ねるうちに冬の寒さと光熱費の高さにお悩みであることがわかり、温熱環境の改善を含めたリフォームをご提案することになりました。
建物は現状を維持したまま可能な限り断熱材を施工し、縁側には固定の窓ガラスをはめ込みました。また、基礎も断熱工事を行ない、基礎内に吹き込んだ温風が床面に開けた各所ガラリを通じて室内を暖める「床下エアコン」も設置することで、これまで部屋ごとに必要であった暖房器具をエアコン1台に集約することができました。当然、光熱費も格段に安くなりました。
さらに、リフォーム以前には蔵に所蔵されたままであった欄間や能面を邸内の各所に飾り、屏風絵はふすまへと仕立て直しをするなど、このお宅の歩まれてきた歴史にもう一度光をあてることにも注力しました。

改修前は駐車場がなかったので、改修するにあたり、外観を損ねないように駐車場を設けました。

扉を開けると、歴史を感じるおもてなしの場となっています。趣のある材料は100年程前のものです。

格子一つにも昔の職人さんの技がひかります。

玄関の建具。良いものは長持ちするだけでなく、他にはない雰囲気をまとうようになります。

ベンチを設けて靴を履きやすくしたり、のぼりやすくしたり、玄関は大きく改修しました。靴箱の扉は網代で組んであり、ここにも職人さんの技が見られます。

リビング部分は狭かったので大きく改修。和室は畳を取替え、木部を洗い、壁を塗り直ししただけですが、改修部分と雰囲気を損なうことなく調和しています。

庭部分が大きく開放されており、中庭からのひかりが美しいです。

和室から中庭を見る

和室から中庭を見る

和室からリビングを見る

欄間は自然をモチーフにした細かな細工がされています。これも100年程前のものです。

先代は能をご趣味とされてました。能面はひかりのあたり方で表情が変わるそうで、凛とした和室にぴったりです。

書院の障子も細かなデザインで非常に美しいです。

廊下の床下にはガラリがあり、ここから暖められた空気が室内に流れます。

基礎断熱に改修し、床下にエアコンを設置。この一台で冬の暖房をまかないます。

2階に上がる階段の壁には蔵に長年しまってあった襖絵を展示することで、格式の高い空間となりました。

襖絵のディティール