スタッフコラム

京都で家を建てる(8)景観政策のことを知っておこう2

景観政策が適用されるエリアで建築物や工作物を建てる際は、一定のルールを守らなければならいないことを前回のコラムではお伝えしました。では、その適用エリアはどこになるでしょうか?実は、京都市はほぼ全域が「景観計画区域」に指定されています。ですから、京都市内で建築物や工作物を建てる際には、必ず高さや壁面の位置の制限、また建築物の敷地面積などについての制限があると考えてよいでしょう。新築、増築、改築を行うときは、京都市に事前の届出を行ない、認定を得ることが必要になってきます。

景観計画区域は更に細かく分けられる

「景観計画区域」についてもう少し詳しくみてみましょう。区域内は、大きく「景観地区」「建造物修景地区」「風致地区」に分けられます。「景観地区」とは、昭和初期頃すでに市街化していた北大路通,東大路通,九条通,西大路通に囲まれた地域を主な対象にしています。景観地区は。さらに「美観地区」と「美観形成地区」に分けられます。
景観計画区域の区分

「美観地区」とは、京町家や近代洋風建築が残り歴史的風情をたたえる地区や世界遺産をはじめとする歴史的資産の集まる地区、また伝統産業の集積により特徴的な町並みが広がる地区など、いわゆる「京都らしい」地区です。それに対して「美観形成地区」は、もう少し新しい町並みが対象です。昭和初期頃に整備された京都市中心部の、美観地区に接する沿道の景観を形成する地区となります。どちらの地区も、建物や工作物をつくる際に現在の景観を壊さないためのルールがそれぞれ定められています。

「建造物修景地区」は、景観地域の外縁部から京都盆地を形成する三方の山々の内縁部までが主な対象です。景観地区に比べると緩やかな景観規制により、良好な市街地景観の形成及び向上を図っています。周辺の景観ごとに次の4つの建造物修景地区を設けています。

1. 山ろく型建造物修景地区

山すその緑豊かな自然に調和した良好な町並み景観の形成を必要とする区域を指定しています。

2. 山並み背景型建造物修景地区

背景となる山並みの緑と調和した良好な市街地の景観の形成を必要とする区域を指定しています。

3. 岸辺型建造物修景地区

良好な水辺の空間と調和した趣のある岸辺の景観の形成を必要とする区域を指定しています。

4. 町並み型建造物修景地区

地域ごとの景観の特性を生かしながら,町並み景観の向上を目指す区域を指定しています。

一方、「風致地区」とは、建造物修景地区の更に周辺部、京都三山やその裾野の地域を主としています。緑豊かな生活環境を形成することを目的に、自然的景観や社寺や史跡等の歴史的資産の景観を守ることが目的です。風致地区の中でも、上賀茂神社、清水寺、醍醐寺などの世界遺産周辺や、鴨川や高野川沿いなど61地区を特別修景地域に選び、各地域ごとの規制も設定されています。特別修景地域は一般的は風致地区に比べて規制が厳しいので、建築物の高さや外観デザインにより配慮が必要となってきます。

眺望景観保全地域について

以上の「景観地区」「建造物修景地区」「風致地区」の中には、「眺望景観保全地域」と重複する地域があります。「眺望景観保全地域」とは、境内の眺めや五山送り火の眺めなど、京都を代表的する眺望を遮ったり阻害しないように、建物の高さや形、色彩についてルールが定められた地域です。「景観計画地域」が町並みを歩いた時に目に入る、近景に対しての決まりごとがある地域だとすれば、「眺望景観保全地域」は、遠くや広くを眺めた時に、視界すべてに対しての決まりごとがある地域と言えます。

このように、建物や工作物を建てる際には、ルールに則って作る必要があります。このルールを「美しい京都の町の景観を次の世代に引き継ぐための約束事」と捉える人もいれば、「めんどくさく厄介な規制」と感じる人もいます。しかし、京都市民にも、また観光で訪れる多くの方にも愛される京都の景観は、このルールを守ってきた市民ひとりひとりの協力でできあがっていることを覚えておいていただきたいと考えます。