私たち中藏は左官業から始まった会社です。もともとは職人集団だったのです。しかしその後、建設業へと業務拡大をしていく中で、全社員の中で職人の占める割合が次第に比率が下がり、現在、中藏の正社員として在籍してる大工や職人はわずかです。そうなった大きな理由は、仕事の内容や案件のスケジュールに応じて、外部の大工や職人に都度発注するほうが効率的だったからだといえます。
しかし、近年このような仕事のながれによる問題が顕在化するようになりました。
社内に技術が継承されない
大工や職人が社内にいないということは、ものづくりをする技術が社内で継承されず、また蓄積もしないことになります。設計士がいくら素敵な設計図を描いたとしても、それを作ることができる大工や職人がいなければ、まさに絵に描いた餅でしかありません。
かつては、そのような技術の継承を外部の大工や職人が肩代わりをしてくれていましたが、その方々も高齢化していくとともに、後を継ぐ人も少なくなり、また、経営基盤的に小規模なこともあり、継承が途絶えがちになりつつあります。
大工や職人のなり手がいない
後継者不足は若者人口の減少だけが原因ではありません。大工や職人の仕事はデスクワークと異なり体を使う仕事であるため肉体的な疲労があります。また、高所作業などの危険も伴います。そのような労働であることから、現代の若者から敬遠されるようになりました。
さらに、休日は週に一日であることが多く、また現場作業の進捗によっては長時間労働となることがしばしばです。また、それらの労働に対する対価も十分であるとはいえません。大工や職人のなり手が減ってもしかたないといえます。
将来的に建物がつくれなくなる
このまま大工や職人が減っていっては、将来的に住宅や建物を作れなくなる可能性さえあります。これは建設業界全体にとっての大問題です。
そこで、中藏としては、大工や職人の育成を外部まかせにせず、自社が直接関わっていくことに注力をしていきます。そのための方針は大きく3つあります。「教育」「環境」そして「地位の向上」です。
時代に合った教育カリキュラムを
かつての職人の世界は「徒弟制度」、手とり足とり教えるのではなく「見て覚えろ」の世界でした。しかし、そのような教育指導は、現在の若者たちにはマッチしていません。彼ら彼女らがやりがいと達成感を感じながら技術習得をしていける教育カリキュラムの確立が必要です。動画コンテンツなどのデジタルツールを利用した効率的な学習も考えられます。
働く環境、特に時間管理を厳格に
働く環境として安全な現場にすることは必須といえます。さらに、これまでと大きく変えなければならないのが時間管理です。大工や職人の長時間労働や休日返上の作業に頼っていた現場は早急に改善すべきです。また、男女を問わず働きやすい職種にするためには、育児休暇や時短勤務などの制度も導入することが必要と考えます。
大工・職人の地位向上を
大工や職人は、設計士や現場管理者からすると下に見られがちでした。このことが、大工や職人のなり手の減少につながったことは否めないと思います。これからは、ものづくりを担う者として設計士や現場管理者と対等なポジションにするとともに、それに見合う給与体系も考えなければなりません。そのためには、大工や職人の多能工化やDXツールを利用した作業の効率化など、労働生産性を高める工夫も考える必要があります。
そして、夢のある職業へ
若い人、子どもの中にも「ものづくり」が好きな人は一定数いるはずです。しかし、肉体的なキツさ労働時間、さらに得られる対価などの理由から、大工や職人になることを敬遠されているのかもしれません。
中藏では、そのような認識を変えていくため前述したような取り組みをすることにより、大工や職人を若い人から「夢のあるなりたい職業」と言ってもらい、彼ら彼女が次世代をになう大工や職人となるよう、変革をしていきたいと考えています。