スタッフコラム

京都で家を建てる(13)「防火地域」の家は何が違うの?

窓ガラス

網入りガラスは「防火地域」や「準防火地域」の証

 

金属の網が入った窓ガラスをご覧になられたことがあると思います。あれは何のためだと思いますか? 防犯のため? いえ違います。網の入った窓は「防火窓」と呼ばれるもので、「防火地域」または「準防火地域」にある建物は、防火窓を使わなければなりません。最近は、網なしガラスの防火窓も増えてきましたが、まだまだ主流は網の入ったものです。

このように、「防火地域」や「準防火地域」に指定された地域で家を建てる場合には、家の構造や材料に一定の条件が必要となってきます。今回は、それらの概略についてご説明をします。

 

 

京都市の中心部はほとんどが準防火地域

 

そもそも、「防火地域」や「準防火地域」とは、都市計画法において「市街地における火災の危険を防除(防いで取り除く)するために定める地域」として指定されるエリアを示します。ざっくり言うと、主要な駅の周辺や繁華街などの建物密集地、そして幹線道路沿いなどです。

下に示すのが京都市の「防火地域」と「準防火地域」を示した地図です。地名などがないため少々見づらいですが、画面中央の赤い部分が京都駅周辺、その右上の同じく赤い部分が河原町周辺です。ちなみに、赤い部分は防火地域、そして黄色い部分が準防火地域を示します。防火地域は主要ターミナル周辺と(この図では見づらいのですが)主要道路の両側という、比較的ピンポイントが対象となりますが、準防火地域となると、南は中書島あたりから北は北山通りあたりまで、東は山科駅周辺から西は桂駅周辺までと、京都市の中心部ほぼ全域が準防火地域に該当します。

 

京都市防火地域
なお、この地図は京都市のホームーページからどなたでも閲覧することが可能です。ご自身のお住いのエリアが何に該当するかを調べてみるのもよいでしょう。

 

指定地域内ではさまざまな制約がある

 

さて、冒頭でお伝えした「防火地域や準防火地域に指定された地域で家を建てる場合には、家の構造や材料に一定の条件が必要となってくる」についてご説明しましょう。防火地域の条件は準防火地域よりも厳しく、また、同じ準防火地域内でも建物の規模が大きくなるほど条件は厳しいのですが、ここではわかりやすい例として「準防火地域で一般的な住宅を建てる場合」を中心にご説明します。

延べ面積が500平方メートル(約152坪)以下の建物は、3階建てであれば「政令で定める技術基準に適合した建築物」に、2階建てあるいは平屋であっても「延焼の恐れのある外壁、軒裏、開口部など防火構造を施した建築物」にすることで、建築が可能となります。例えば木造3階建てであれば、外壁や軒裏を防火構造にして、屋根は不燃材でふき、外壁の開口部に防火設備を設けなければなりません。木の柱や梁(はり)は一定以上の太さにするか、石こうボードなどで覆うことも必要です。要は、周囲で火災が発生しても簡単に燃え移らない、延焼をくい止める仕様でなければなりません。

 

制約はデザインにも影響する

 

防火対策を施すには、前述のような防耐火性能を証明し認定された材料を使う必要があるため、どうしても材料費が割高になります。また、これらの材料を使うことは、住宅のデザインにも影響を与えます。

最初にお話した「防火窓」もそのひとつです。窓だけでなくドアも防火仕様にする必要があるのですが、どうしても種類が限られ選択肢が少なくなるため、開口部のデザインに制約が生まれます。また、木造住宅の醍醐味のひとつとして「木の質感が味わえる」がありますが、木材を仕上げ材に使うなど、表面に見えるようにする場合も注意が必要です。全く使えないということはないのですが、使用する木材の板厚などに延焼に対する考慮がされているという条件が発生します。

 

防火・準防火地域以外にも「法第22条区域」が

 

ここまで、防火地域と準防火地域について述べてきましたが、実は「法第22条区域」というものがさらにあります。これは、防火地域および準防火地域以外の市街地において、火災による類焼の防止を図る目的から、建築物の屋根を不燃材で葺くなどの措置をする必要のある区域のことです。ちょうど、準防火地域をぐるっと取り囲むように指定されています。屋根を不燃材で葺く理由は、周辺で火災が発生し、火の粉が風で流されたとしても燃え移らないようにするためです。

 

防火・準防火地域での家づくりは中藏におまかせください

 

このように、家づくりをするにあたっては、景観だけでなく都市計画や防災の観点から自治体が定めたさまざまな規制があります。中藏は、京都市中心部での家づくりを数多く手がけていますので、京都市の条例についても熟知しており、またその対処法、なかでも「条件を守りながら、理想的な家づくりをする」ことに長けていると自負しています。これから家づくりをお考えになられる中において、ご不明な点などございましたら、なんでも中藏にご相談ください。