上棟式とは。
建物の基礎が出来上がると、次は建物の軸となる柱や梁を組んでいきます。その作業を「棟上げ」と呼び、大工さんたちが力を合わせて1日で組み上げます。大きな柱や梁を身一つで持ち上げて組み上げていく作業は圧巻です。組み上げが終わると、家内安全や招福も願い、『上棟式』を行います。神主にお願いすることが一般的ですが、今回も地鎮祭と同じように、社内で行うことにしました。
準備するもの。
地鎮祭と同じように、神主を招き、祭壇には季節の果物や奉献酒をお供えします。上棟式では、一番高い棟木に「御幣(ごへい)」を納めます。これは工務店の方で準備をします。京都の幣串には「おかめ」さんがつきますが、関東ではつけないそうで、地域によって様式が異なります。例えば、近所の方を招いて建物の上からお餅をまく「散餅散銭の儀」がありますが、近頃はあまり見かけません。しかしながら、地域によっては今でも風習が残っているところもあるようです。
祈願の後には直会や関係者の紹介、施主のあいさつなどを行い、最後に関係者にご祝儀などを配ってお開きとなります。最近では簡易に済ませることが多く、直会までは行わないことが多いです。ご祝儀は、一般的には棟梁や現場監督は1万~3万円、職人やその他の関係者は3000~1万円程度、招いた神主さんには3~5万円の初穂料をお渡しします。ご祝儀と一緒に渡す引き出物を用意される方も多いです。ご祝儀の金額は地域によっても異なりますので、心配であれば担当者に事前に確認しておくといいでしょう
儀式の流れ。
1、手水(てみず)
2、修祓(しゅばつ)
3、降神の儀(こうしんのぎ)
4、献饌(けんせん)
5、祝詞奏上(のりとそうじょう)
6、清祓の儀(きよはらえのぎ)
7、上棟の儀(じょうとうのぎ)
8、玉串奉奠(たまぐしほうてん)
9、撤饌(てっせん)
10、昇神(しょうじん)の儀
11、閉式の辞
12、神酒拝戴(しんしゅはいたい)
「上棟の儀」では、『槌打ちの儀(棟梁が「千歳棟(せんざいとう)・万歳棟(まんざいとう)・永永棟(えいえいとう)」と発声し、棟木を打ち固める儀式)』、『鳴弦の儀(鬼門の方角に向けて弓の弦をひき、鬼門からの災いを祓う儀式)』、『散餅散銭の儀(屋根の上から神さまへのお供え物として餅や銭を撒く儀式)』を行います。閉式後、業者紹介や直会を行い、閉会になります。
「おかめ」の由来。
由来は、上京区にある千本釈迦堂 大報恩寺にあります。大報恩寺の本堂の建設時、この大工事の棟梁であった「高次(たかつぐ)」が大切な柱となる木材を短く切り過ぎて憔悴していた際、妻の「阿亀(おかめ)」が、その柱を使うために枡組という技法で継ぎ足すように提案し、夫の窮地を救いました。しかし阿亀は、助言によって夫が難局を乗り切ったにもかかわらず、「(建築のプロでもない)女性の提言で棟梁ともあろう人物が大工事を成し遂げたと知られれば、夫の名誉を汚し、信用も失うのではないか。この身を夫の名声のために捧げよう」と上棟式の前日に自害してしまったそうです。高次は、本堂の上棟式にあたり、妻の冥福と工事の無事を祈って、永久にこの本堂が守られる事を願い、亡き阿亀に因んだ福の面を扇御幣(おうぎごへい)に付けて飾りました。その後、上棟式ではおかめの徳を偲んで、永久に保つような頑丈な建物となり、繁栄を祈るため、おかめ御幣が柱に飾られるようになりました。
ちなみに、我が家の御幣は私が組み立てて文字も書きました。決して上手ではありませんが、自分の家なので手作り感もご愛敬ということで。